大坂なおみ 躍進の裏の葛藤


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大坂なおみ 躍進の裏の葛藤
躍進のシーズンは、涙で終わった。
「見に来てくれた人に本当に悪かった。できることなら続けたかった」。悔しさ、やるせなさが募り、何度も目元を拭った。
初の最終戦は厳しい結果=大坂、安定感向上誓うテニスWTAファイナルズ時速200キロを超えるサーブに代表されるように、もともとパワーは世界トップクラス。今季は俊敏性も加わり、才能が一気に開花した。最初に大きな驚きをもたらしたのは3月。
格付けの高いBNPパリバ・オープンで、マリア・シャラポワ(ロシア)やシモナ・ハレプ(ルーマニア)ら、世界ランキング1位経験者を次と破り、大坂が幼少期から憧れてきたセリーナ・ウィリアムズ(米国)を決勝で撃破。
男女を通じシングルス日本選手初の四大大会制覇を成し遂げた。時の人にこの快挙を機に、自身が置かれる立場や注目度は一変した。
質問に対し、勉強中の日本語で精いっぱい答える姿が好感を呼んだ。年初に68位だった世界ランキングは10月に4位まで上昇。伊達公子や錦織圭(日清食品)に並ぶ日本勢最高位となった。
プレスルームを一見すると、日本人の多さが際立つ。大会関係者は「今までは日本メディアがこんなに来ることなんてなかったのに」と目を丸くした。開幕前の記者会見で、大坂はシンガポールでも注目度が上昇している実感があると明かした。
「前は私のことを分かる人がいるのは日本だけと思っていたけど、ここがアジアだからか、空港とかでも気付かれて変な気持ち」。ただ、大坂に浮ついた様子はなく、落ち着いた笑顔に自信を漂わせていた。「ここにいられることはうれしいけど、満足したくない。
「優勝する気持ちで臨まないといけない。(雰囲気に)圧倒されることはないと思う。いいプレーをすることと、ナーバスにならないことを心掛けたいし、それができる」初戦の前日練習でも、大坂は笑顔が多かった。
しかし、10月22日の1次リーグ第1戦で昨年の全米女王、スローン・スティーブンス(米国)と2時間24分を戦った後に大坂が明かしたが、左太もも裏はこのとき痛めたという。
翌日の練習では確かに左脚を気にする様子があった。それ以上に目立ったのが、大坂の表情の覇気のなさだった。「なぜまだプレーしているの」24日の第2戦も2時間半の長期戦となり、アンゲリク・ケルバー(ドイツ)にフルセットで敗戦。
四大大会3勝を誇る30歳のベテランも本調子ではないように見えたが、最終セットの勝負どころで、大坂は攻め切れなかった。全米では貫くことができていた辛抱強いプレーが影を潜め、ミスを連発。ラケットを投げ「Why」と叫ぶシーンもあった。
試合後、大坂はもどかしい内面を表す言葉を次と口にした。「自分の最高の姿を見せたいのに、できていない」「全米や東レではいいサーブを打てていたのに、それから打てていない。なぜかは分からない」「シーズンは終わりに向かっているのに、体が「なぜまだプレーしているの」と言っているよう」開幕前には、選ばれし者だけが臨める大会に出場できることへの高揚感があった。
しかし、強敵と中1日で2試合、計約5時間も戦った末に連敗し、心身とも疲弊した。26日の第3戦でキキ・ベルテンス(オランダ)に勝てば準決勝進出への望みもつなげられたが、限界を超えていた。普段はトーナメント方式で行われるツアー大会。
ランキングが急上昇した大坂はその分、過去のシーズンをはるかに上回る試合数をこなしてきたことになる。振り返るとファイナルズの前から、体は変調をきたしていた。全米の後に東京で開催された東レ・パンパシフィック・オープンでは、日本のファンの期待に応えて準優勝。
しかし、ウイルス性の疾患にかかり、続く武漢オープンを欠場した。その後、格付けの高い中国オープン(北京)で4強入りしたが、腰や背中を痛め、ファイナルズ前の総仕上げとするはずだった香港オープンの出場を取りやめた。サーシャ・バイン・コーチは「全てストレスによるものだったと思っている。」
「今季は多くのことを成し遂げてきた。僕なら北京に行くことさえできない。長い休みを取っている」と思いやった。
大坂は自分のことを「完璧主義者」という。ファイナルズに向けては、全米を制したことで自身への期待も高まっていたことだろう。だが、中国オープンでの敗戦から2週以上を空けても、完全に回復しなかった。
大坂はファイナルズ出場の8人中、最年少の21歳。相手も、簡単に勝たせてはいけないという意地もあったはずだ。壁を乗り越えられるか大坂の来季を占うと、その潜在能力、若さを考えれば、さらなる四大大会制覇、日本選手未到の世界ランキング3位以上も夢ではない。
ただ、女子はこの2年間、全て違う選手が四大大会を制している。ファイナルズは世界1位のハレプがけがで欠場したとはいえ、ランクで下位の4人が準決勝に進んだ。絶対的な存在がおらず、大坂にとって突き抜けるチャンスとも言える一方、群雄割拠の荒波にのまれてしまう可能性もある。
ライバルたちはこれまで以上に研究して向かってくる。下位に負けられないプレッシャーも増す。ケルバーは16年に四大大会で2勝しながら、昨年は不振に陥り、今年はウィンブルドン選手権を制すなどして復活した。
「四大大会を勝ってからのプレッシャーに対処するのは簡単ではない。それが最初ならなおさら。いい選択、悪い選択を学び、乗り越えることでコート外で起こることにも対応できるようになる」と経験をもとに話す。
アップダウンを繰り返す中、また上がって来られた。大人になったと思う」と話した。来季の目標は「全米からできていたプレーのレベルを、年間通じて維持したい。
「そんな選手はいないと分かっているけど、どの試合も勝ちたい」と高い理想を掲げる。今季最終盤に味わった自分との闘いや、ファイナルズで喫した3連敗は、恐らく来季待ち受けるであろう壁の序章。心も体も強くなってそれを乗り越えてこそ、真のトップ選手になれる。
「私はいつも未来を見詰めている。2019年がどんな年になるか、とてもわくわくしている」。ひるまず、新たなシーズンに臨もうと思っている。

[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – スポーツ 大坂なおみ 躍進の裏の葛藤

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