ムロツヨシ 42歳で挑む山

ムロツヨシ 42歳で挑む山
回を重ねるごとに、注目を集めている『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)。
現実の悲しさと愛に触れた幸せが入り混じった涙の笑顔は、戸田とムロツヨシの名シーン「やりすぎかな。でも、ここでは表情を出さないほうがいい、絶対に。」
でも」古びたアパートの一室で、ムロツヨシが監督と議論をしている。小さなローテーブルを挟んで、向かいに座っているのは戸田恵梨香だ。ここは、金曜ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君を」の撮影現場。
“ラブストーリーの名手”である脚本家・大石静が描くオリジナルドラマは、ヒロインの病が進むにつれて波乱に満ちていく。本格恋愛ドラマは初となるムロツヨシは、どのような心持ちで演じているのか。話を聞くうちに、役者・ムロツヨシが挑む大きな山が見えてきた。
「自分がやっていいのかな」ーー「大恋愛」というドラマをやるんだと思ったとき、客観的に“ムロツヨシ”というイメージは、ほぼ変わりがないと思っています。
ただ、一方で、僕ムロツヨシ本人からすると、19歳から役者をやって、恥ずかしながら努力不足・覚悟不足もあり、いろんなことがうまくいかず、考え方を変えたり、あがき続けてきました。いつかこういうお芝居を求められたらいいな、とは思っていましたので、いろんな人に助けられ、42歳にしてようやくこういうチャンスをもらえたというやりがい、喜びはありますね。ーーたしかに、コメディのイメージが強かったので、恋愛ドラマに出られると聞いて意外に思った方も多かったかもしれません。
ムロツヨシそうですよね。目標は、いくつかあるんです。
たまたまひとつの仕事がうまくいったからって、決して長続きしない世界であることは、イヤというほど思い知らされました。お芝居に対しての考え方をいくつか持っていないと。どんな仕事も山に例えられますが、いろんな筋道の考え方を作って上っていかないといけない。
“この道を知っているから”って、その山を知っているような気になりますが、まだまだ知らない道はたくさんあるわけです。一度わざと下ったり、あるいは下らざるを得なかったり。そういう意味では、僕は20代のころから今まで、準備する時間はあり過ぎるほどあったので。
「尚と真司の間に流れている時間を意識して演じています」今回、演じている真司とムロさんは重なる部分も多いですよね。ムロツヨシでも僕より真司のほうがすごいんですけどね。真司は21歳のときに、小説という自分のやりたいことで賞をもらっていますから。
要するに一度、光を浴びているわけです。僕の場合は、28歳のとき全国公開の映画に出るまでは、光を浴びているわけです。
本当はやりたいことがあるのに、本業はできなくなってしまった人、という意味では一緒です。それから真司は引越しのアルバイトしかしてない。僕も肉体労働のアルバイトしかしていない時期もありました。
引越し、建設現場、コンサート会場の設営・撤去もしましたね。そういう重なりが照れくさいというか、やだなーって。思い出すことがたくさんあるので。
ーーあけたくない記憶のトビラが開いてしまうようなムロツヨシそうだから真司の悶とした気持ちはすごくわかりますよ。真司は光を浴びた後、次に書いた小説が酷評されて何もできなくなってしまったわけですけど、僕も自分で脚本を書いて演出した舞台が、全くお客さんに届かず、届かないどころかもうなんかすごい訳分かんない時間を過ごさせてしまったという自覚から、真司のように“何もできない時間”に突入しましたから(笑)書きたいものがないと諦めている真司と、いつか芝居だけで食べていけるようにもがいていたムロと。
今42歳で、書きたいものが見つかる真司と、色んな人のおかげでこの役にたどり着いたムロと。重なるところはありますね。ーー今回、撮影現場を見学させていただいて、ムロさんが真司の人間性をつかもうと丁寧に議論を重ねている姿がとても印象的でした。
ムロツヨシそういうふうにみていただけるのはありがたいですね。
正直言うと、(身をよじらせて)「もーわっかんなくなっちゃったなー」みたいな(笑)時間をかけさせてもらって恵梨香ちゃんには申し訳ないなと思いながら。でも、それくらいすごく重要なシーンだったので。
僕にとっては今日大きな1日でしたね、いい意味でドッと。ーー疲れがムロツヨシはい~アハハ、いやでも、疲れたからイヤっていうわけじゃなくて。あんまり考えたことのない脳を使ったんじゃないですかね。
ーーありますよね。脳みその筋肉痛といいますか。
ただ今回、そういう話ができるというか、スタッフさんには現場が少し止まってしまうんで、申し訳ないですけど、ちゃんと確認して共通項を持たず、監督がきたらこう返すみたいな、こんなやりがいのある現場はないですね。重いシーンがより重みを増すのは、その前にどれだけ笑えるシーンがあるかにかかっていると思うので、恵梨香ちゃんと真面目なシーンじゃないときは、あえて明るすぎるくらいふざけたりもします。尚と真司の関係性を作るためにも。
ーーなるほど。真司の佇まいを見ていると、私たちがイメージしているムロさんよりも、少し声のトーンが抑え気味に感じるのですが、真司を演じるにあたって意識しているところはありますかムロツヨシあえて低い声を出そうとかはしていないですね。台本を読んで、セリフを覚えたときに、自分がやってくれていることなので、そういうことなんだろうなと思いますけど。
ドラマの撮影は一発本番ではないので、テストを重ねて“落とし込める”って言葉を今回の役に関してはよく使うんですけど、すんなり落とし込めないでいるんだったら少しやり方を変えたりとか。もちろん、それは、声ひとつかもしれないし、姿勢、目線、言葉の捉え方、相手のことをどう思ってるか、この瞬間はって。これは、テレビドラマのスケジュール上、仕方がないことなんですけど、今は3話、次は4話ってシーンを混ぜこぜに撮らなければならなくて。
ーー第3話の予告映像で話題になっている、尚が真司のホクロを押すと変顔になるというシーンは、おふたりが「実際にやっていた」と戸田さんがインタビュー(httpswwwrealsoundjpmovie201810post265274html)でお話していました。ムロツヨシアハハ。前にやられた記憶があったので、台本を読んだとき“あら”って思ったんですよ。
どうやら噂によると、恵梨香ちゃんが大石さんに言ったみたいですね。脚本家として大石さんが即採用されたのなら、それはいいんです。
だって、無茶振りもいいとこですよ。“尚、真司のホクロを押す。真司、変顔する”って、ト書きはたったの2行さでも、こっちは笑わせるために何行分も考えていくわけですからまあ、自分の好きな人を、自分のことを好きでいてくれる人を笑わせるっていうシーンは、いいなと思ったので、なんの文句も言わずにやりましたよ。
ただ、ト書き2行か、ってね(笑)第1話からアップルパイや黒酢はちみつドリンクなどのアイテムが登場していますが、何か物語のキーとなるのでしょうか。ムロツヨシそれ気になっている人、多いみたいですね。
第1話の感想を見かけました。大石さんが何か引っかかるようにしているのかな。でも、演じ手に徹していようと思います。
だから、さっきの冗談じゃないですけど“これがドラマのポイントやで~”なんて変な意識をせずに、恵梨香ちゃんと向き合っていこうと。じゃないと、イチャイチャも複雑な心情の変化も描けないと思うので。「戸田恵梨香を好きにならない方法を教えて」ーー真司は尚のようなスレンダーな女性がタイプでしたけど、ムロさん自身の好みのタイプはムロツヨシ昔は、どちらかといえばぽっちゃりした人が好きだったんですよ。
モデル体型の人を目の前にすると“いやー、俺なんて”っていう人ばかりで。
例えば、テレビ局に行くと女優、モデル、アイドル、アナウンサー、番組アシスタントって次にキレイな人がたくさんいますもんね。
ムロツヨシだって、もー、恵梨香ちゃんが毎日となりに来て笑っててごらんなさいよ。あんな可愛くて、いつもニコニコしてて。はぁ~もう好きにならない方法を教えてくださいよ。
ほら、うちのマネージャーだって頷いてますよ。
尚と真司はイチャイチャしないとムロツヨシアハハハ。いやー、本当にどう見たってかわいいもんなー。戸田恵梨香を好きにならない方法を教えてほしいですよ。
ーー当初「自分でいいのかな」と仰っていましたが、こうしてお聞きしているとムロさんと戸田さんだからこそ、「大恋愛」という作品が生き描かれているように思います。改めて、ムロさん自身が役者として最もやりがいを感じている瞬間はムロツヨシそうですねー、本番じゃないですかね。もちろん、そのあと観てくれる人が多かったり、「よかった」とか「最初しっくりこなかったけど見入っちゃった」とかっていう褒め言葉も嬉しいですけど、やっぱり本番のときにしっかり落とし込めると、やりがいを感じます。
もちろん、本番は基本1回ですし。2回3回あっても、そのときやらなかったことは自分でジャッジしているわけで。
もしくは、勇気がなくてできなかったわけですから。それはもう観ていただいたみなさんに、けなしていただくしかないと思うんです。あーでもねー、「大恋愛」だと、テストのときにいろいろ悩みながら、実は自分の中でどっか変えてて、尚のことを考えて“もう自分のやりがいなんてどうでもいいや”ってぐらい演技に集中したときに、一番やりがいを感じてるかもしれない。
ーーなるほど、作品によって異なるとムロツヨシですかね。福田雄一組でのやりがいは、とにかくおもしろくすることが100点なので。
そのやりがいは、すごく明確。でも、その分、緊張感も半端ない。今やもう。
1周も回ってしまったので。ーーそれこそ、先ほど仰っていた道が違いますね福田組で大きくしてきた道とは、また違う道を切り拓いて、役者という山を登り続けていきたいんです。

[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – エンタメ ムロツヨシ 42歳で挑む山

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